NO. 31
平成31年1月23日(水) 晴れ
前回、
日本の名著3作品が掲載されている本をご紹介しました。
「茶の本」 「武士道」 「代表的日本人」
今回はその中で 「茶の本」 を少しご紹介
私が3作品の中で
一番最後に読んだのがこの本です。
お茶をテーマにしたマニアックで
退屈なイメージがありましたので
茶道に全く興味のない私にとって
まず手に取らない本です。(^^)
前回、ご紹介したように
「茶の本」以外に
「武士道」と「代表的日本人」が
一緒に読めるので手にした本です。
読んでみて
”マニアックで退屈”
という最初のイメージとは異なり
それは完全な誤解であることが
分かりました。(^^)
決してマニアックな本などではなく
対象も視野も広く
退屈どころか、
とても読みやすい面白い本でした。 (^○^)
岡倉天心 (本名 覚三)
明治期における日本美術界の指導者であり
東京芸大の前身である
東京美術学校の設立にひと肌脱ぐとともに
自ら校長に就任して横山大観など
多数の日本画家や彫刻家を育てました。
その後、日本美術院を設立し
現在まで続く近代日本美術の礎を築きました。
その一方で
アメリカのボストン美術館の東洋部部長に就任し
海外での講演活動や執筆活動を通じて
日本のみならず
東洋に対する欧米の理解を深めるのに尽力しました。
「茶の本」は
1906年にニューヨークで刊行。
ボストン美術館の東洋部の顧問をしてからの著書で
単なる茶道の歴史・技術を紹介した専門書ではなく、
茶の湯を切り口として
日本の住居や習慣、衣服や料理、
陶磁器、漆器、絵画、そして文学に至るまで
日本文化全体のありようを説いた
日本に関する文明論の著作です。
冒頭で天心はこう書いています。
「日本の住居や慣習、衣服や料理、
漆器、絵画、そして文学に至るまで、
すべて茶道の影響を受けていないものはない」
そして本書の魅力のひとつは欧米文化に対して
天心の遠慮のない皮肉です。(^^)
冒頭でいきなり痛烈なことを書いています。
「西洋人は、
日本が平和で上品な文芸にふけっていた間は、
野蛮な未開国だとみなしていた。
ところが、
満州の戦場で大量殺戮を始めてからは
文明国と呼んでいる。」
そして室内の装飾に関しては
つつましやかでさりげない演出を好む
日本の内装に反して
西洋の家は美術品が”ごてごて”と飾られていて
「富をいやらしくひけらかしていると印象を受ける」
と言い放った後に
「来る日も来る日も
あれほどの色彩や形が入り乱れた中に
置かれて過ごしているとすれば、
よほど強力な芸術的感性を
持ち合わせているに違いない」
と、続けます。(*_*)
ここまで言われて欧米の人は腹を立てないだろうか?
と、ちょっと心配になりますが
少し胸のすく思いがするのも事実です。(^^)
天心の逸話をもうひとつだけ
1903年(明治36年)
天心はアメリカのボストン美術館からの招聘を受け、
横山大観、菱田春草らの弟子を伴って渡米しました。
羽織・袴で一行が街の中を闊歩していた際に
1人の若いアメリカ人から冷やかし半分の声をかけられ
「おまえたちは何ニーズ? チャイニーズ?
ジャパニーズ? それともジャワニーズ?」
そう言われた天心は
「我々は日本の紳士だ、あんたこそ何キーか?
ヤンキーか? ドンキーか? モンキーか?」
と流暢な英語で言い返しました。(^^)
「茶の本」を読んで
他の岡倉天心の本が読んでみたくなり
おもわず購入しました。(^○^)
いつも長原整骨院のブログを読んでいただきまして
ありがとうございます。m(__)m